Jon Kabat-Zinnインタビュー(by Amir Imani)

マインドフルネスストレス低減法の開発者であるJon Kabat Zin博士への、Amir Imani氏によるインタビューです。
※なお、下記は当センター担当者が概訳したものであり、内容の詳細に不正確な部分があり得ることをあらかじめご了解の上、ご覧ください。

Amir:(視聴者へ)皆さん、ようこそ。

Jon:今日はお招きいただきありがとうございます。私はマサチューセッツにいます。今日はイラン(註:主にイラン国内に向けて行われたウェビナー)にいらっしゃる皆さんとつながることができてとても幸せです。このインタビューに興味を持ってくれている方が多数いらっしゃって嬉しく思います。通訳の方にもお礼を申し上げたいと思います。

Amir:これはマインドフルネスに関するウェビナーシリーズの記念すべき第一回目です。Jonのことはみなさんに紹介するまでもありませんね。マインドフルネスストレス低減法(MBSR)の創始者のJon Kabat-Zinn博士です。最後に皆さんにもご質問いただける機会を設けています。

Jon:今日見ていただいている方の多くは臨床の心理士の皆さんだということです。是非マインドフルネスを始めてみませんか?マインドフルネスに可能性があるということを知っていただくのは重要なことだと思うからです。心理学とは、人間や心についての学問です。そして、マインドフルネスは、そのことについて内側から多くのことを教えてくれます。マインドフルネスは、運動で筋肉を鍛えるように、注意を調整する方法なのです。
注意力を鍛えるだけでなく、体や心、世界との関わり方についての深い本質についての洞察力をも高める方法です。学校で先生から注意深くあるようにと言われますが、その技術について学ぶ機会はありません。それはどの文化ででも同じことです。どの文化においても、注意の払い方を教えてもらうことはありません。マインドフルネスはジムに通って、いわば心や体と対話するようなものです。
外からは何もしていないように見えますが、実際には微妙なチューニングをするために、とても静かな状態にならなければなりません。瞬間瞬間に観察を行います。マインドフルネスのオフィシャルな練習は、ある意味、自分自身のすべての活動を停止させることを意味します。活動というものは、得てして、心ここにあらずの状態で、自動操縦状態で行われるものです。

今この瞬間、の面白いところは、自分の心がどこにあるかに注意を払うと、ほとんどの時間、自分の心が今ここに無いことを発見することです。未来について計画を立てたり心配したりすることもあれば、過去について何度も同じことを繰り返し思い出すこともあります。そのような中で、オフィシャルなマインドフルネスの練習は、いまここで生きる力を取り戻すことにつながります。

少し時間をとってみましょう。目を閉じてください。
マインドフルになるために目を閉じる必要はないのですが、より内なる感覚を感じるために目を閉じてみましょう。今ここに座っている感覚、呼吸の感覚。目を閉じて、鮮明に感覚の有る体の箇所に意識を向けてみましょう。経験のある人は、これが難しいことがわかるでしょう。なぜなら心は一つのものに集中したがらないからです。このことは初めてマインドフルネスに取り組む人にとっては、驚くべきことではないでしょうか。
ここで、サーフィンをするかのように、自分の呼吸の波に乗ることができるかを試してみましょう。完全な注意を向けると、空気が実際に体に入ってくることを感じることができます。そして、瞬間瞬間、空気が体から出ていきます。自分の体全体に気づいてここに安らいでいます。座っているこの間に、自分の意識がどこか他のところに行っていることに気がついたら、どこに行っているかにただ気づいてください。これが注意の性質というものだからです。そして、興味を持って、体や呼吸に意識を戻します。自分を連れ去ろうとするものがあれば、ただそのままにさせておきます。
注意を払う力と気づきの力は常に同じものです。注意の対象は異なるでしょうけれども。こういった練習を通じて学ぶことは、自らの気づきの中に留まる方法です。そのすばらしいところは、私たちは気づきというものをすでに持っていることです。ですから、それを手に入れようとする必要はないのです。気づきの力は生まれながらにして持っているものです。しかし、残念ながら、多くの場合、私たちは注意散漫な状態にあり、気づきの力と親しくなることがありません。気づきの力のことをよく理解した時、問題を解決し、自分の人生を存分に生きる助けとして、自らの気づきを用いることができるようになります。

静けさの中で、私の言葉を聞きながらも、際限のない気づきの空間を保ち、その中で安らいでいます。気づきの中に安らぎつつ、自らの呼吸の波をサーフィンするのです。この時、とても重要なことがあります。今、あなたは、呼吸について考えているのではなく、体のどこかで実際に感じているということです。それはお腹の部分かもしれませんし、鼻の部分や胸かもしれません。どこであれ、呼吸の感覚が最もはっきり感じられるところが、自分が呼吸を体験するところです。ですから、自らの静けさは、純粋な気づきを伴う自分自身の目覚めと共に広がっていきます。これが大きな洞察力を与え、それまでは好き嫌い、欲しい欲しくない、といったようにはっきりとした白か黒かでしか考えられなかったところに、微細な違いを見分けることを可能にします。

人生は、デジタルというよりは、アナログなものです。ですから、智慧と洞察を育て、物事を好きか嫌いかで判断するようなことを止めることはとても大事なことです。このようにすることはとても健全なことです。なぜなら、そうすることが、自分がどこからきて今何をやっているかを考えることをやめて、本当の自分自身に立ち返ることだからです。

私は、MBSRプログラムをお医者さんから紹介された患者さんたちに対して、MBSRは8週間のコースで自分自身をケアする方法を教えるために作られたものであり、是非参加するようにと伝えています。患者さんたちは考えうるさまざまな症状を持ってやってきます。心臓病や、癌、慢性的な痛み、不安やうつなど。

家族のことや仕事のことなどからくる様々なストレスがあります。私は彼らに対して、こういうことを言いました。
その診断や抱えている問題がどうであれ、私に言わせれば、呼吸している限り、まさに自分自身と共にいることになるのです。MBSRの8週間で私たちがやろうとしていることは、あなたにとって必要なものにエネルギーを注ぎ込むことです。悪いところは他の医療チームに任せてください。この8週間で何が起こるかを見てください。心身医学とか、統合医療とか呼ばれているものと同じです。現在主流となっている医学と組み合わせた瞑想的な実践のようなものです。

まだ目をつぶっている方は、よければ目をあけてください。
目を開ける時にも、気づきを体に留めおいてください。両目は開けている状態でありながら、呼吸をし、私の声を聞きながら、座っている自分の体の感覚に気づくことができることを感じましょう。私の顔が画面に見えているかと思います。いま養っている気づき、養ってきた気づき、これがマインドフルネスです。他の言葉で表すと、純粋な気づきです。そして、繰り返しになりますが、これは生まれながらにしてすべての人がもっているものです。手に入れないといけないものではありません。ただ、使い方がうまくなるか下手になるかです。楽器をチューニングするように、私の場合は毎朝調整を行っています。

立ち止まって静けさを取り戻すことがフォーマルな練習です。静かですが、眠りに落ちるのではなく、実際はその反対に、目覚めていくのです。ご存じないかたのために、私のマインドフルネスに関する定義はこうです。マインドフルネスは、意図的に、今この瞬間に、判断を加えず、注意を払うことから生じる気づきです。そして、それはいまこの10-15分間で私たちがやってきたことです。判断を加えずに、とは、判断を一切しないという意味ではありません。私たちは、いつも、数多くの判断をしています。ここで言いたいのは、自分がいかに判断をしがちかということについて評価を下さない、ということです。そしてできるだけ評価を差し控えるようにします。そして、自分自身の気づきの中に戻って来て、その中にある。

ですから、私が言いたいことはこういうことです。「評価をしない」いうとき、判断をしないことを意味しているわけではありません。
私たちはみんな、あるものが好きです。そして、その反対のものが嫌いです。しかし、私たちがやろうとしていることは、その判断を控え、物事をあるがままに見るということです。これは、ある種、枠組みをひっくり返すことです。

私たちは、瞬間瞬間に、マインドフルネスを鍛えることができます。そうすることで、ストレスや痛みとどう付き合っていくかがわかってくるようになります。マインドフルネスが体や心の健康に影響を与えるエビデンスも増えてきました。家族の健康や人間関係にも影響を及ぼします。自分自身の社会的なつながりが、不安や気分の落ち込みから自分を救ってくれることがあります。また、マインドフルネスが、コンパッションやさしさをもって他者を見ることの助けにもなります。それは他者に対してだけでなく、後ほどスピーカーとして登場するChris Germerからも聞くことになると思いますが、自分自身に対しても同じことが言えます。
マインドフルネスは、40年近くに渡り、医療の新しい分野としての地位を得てきました。医師任せにするのでなく、医師と手を携え、健康や幸福に影響を与えてきました。
MBSRプログラムに参加することでこのことを学ぶことができます。MBSRに参加することは実験をするようなものです。8週間が終わった時に、それが自分にとって価値があるものかどうかがわかるでしょう。しかし8週間の間は、マインドフルネスの練習をただ続けるということがとても大事なことです。それが気持ちのよいことであってもそうでなくても、楽しくてもそうでなくても。
マインドフルネスの力を養うにあたって、あるルールがあります。私は1万人以上がこのプログラムに参加し、そこからメリットを得てきたことを見てきました。うつ病については、次のスピーカーであるWillem Kuykenが科学と臨床の両方において世界的な権威で、マインドフルネス認知療法を行っています。鬱の再発について、彼はマインドフルネスの持つ力について多くのことを語ってくれるでしょう。それから、Nancyは出産についての話をしてくれます。そして、生まれた後、子育てに際してマインドフルネスをどう取り入れていくかについて。Nancyの話を聞くと、子育てだけでなく出産に対する私たちの態度を変わるだろうと思います。

もう一つ、医学におけるマインドフルネスについてお話ししたいと思います。インド・ヨーロッパ言語で、医学(medicine)という言葉は、瞑想(meditation)と同じ語源を持ちます。物差しと、医学、瞑想がどう関係するのか?物差しを長さや大きさを測るために使う外部にある基準のようなものととらえるならば、答えは、何の関係もない、になります。かたや、より純粋な概念としての物差しという言葉は、すべてのものは自らの内に正しい尺度を持っているということで、それが、何か自分にとって都合が悪いことが起きても、もっと適したものが来るだろう、ということに気づくことを促します。そして、瞑想は、自分自身の全体性を直接知覚することを意味し、そのことを内なる尺度が促します。

もう一つ触れておきたいと思います。自然の世界についてです。行ったことはありませんが、イラン(註:当セミナーはイラン国内向けにオンラインで行われたもの)はとても美しく、雄大で、素晴らしい景色、山、湖、川をもつ国だと思います。癒しにとって、自然は大変重要な役割を果たします。なぜかといえば、自然は常にその瞬間にあるからです。木陰から山や川を眺める。これはその瞬間にあることです。自然に入っていくと、心身が回復していくように感じられます。テクノロジー、パソコン、携帯電話といったものは持ち込みません。ただ、アナログな世界に再びつながります。そうしてくつろぎを覚えます。

このあたりで対話、質疑に移りたいと思います。このシリーズ全体から何かみなさんが感じるところがあって、マインドフルネスを自分の人生に取り入れ、自分の健康、幸福人間関係、人生や自然に対する愛を高めることに役立てていただければと思っています。

(質疑応答)

Q.気づきの中に安らぐ、というのはどのような意味でしょうか?

A.体験にとの関係において、どのように存在するか、ということが大事なことです。気づきの中に安らぐ、という意味は、こういうことです。私たちは、好きなものは追い求め、嫌いなものは追い払おうとします。それに対して、気づきの中に安らぐことは、何が起きてもそれを受け止めることを学ぶことです。それは、物事を変えることができない、ということではありません。物事に対する関わり方を変えようとする前に、自分自身の物事に対する関わり方に自覚的になり、自分自身に還ることができるようになるということです。そのことは練習すればするほど上手になります。
マインドフルネスの練習をすると、愚かになり重要な問題に興味を示さなくなると思われるかもしれませんが、実際にはその逆で、直面する様々な問題や健康上のことに、知恵を用いて関わり、より賢くなるのです。

Q.(質問音声不明瞭)マインドフルネスが注目されるにつれ、正しく伝わらなくなることもあります。それを避けるにはどうしたらいいでしょうか。

A.とてもいい質問です。あるものの価値が認められた時、そこでお金儲けをしようとする人たちによって、その良さが薄められたり毒されたりすることがたびたび起こります。そういったことへの唯一の対策は、そのような人達と争うことはやめることです。唯一の本当の解決策は、できるだけ、自分自身のマインドフルネスを養うことです。もしあなた方が心理の専門家であるならば、このことを書籍からではなく心の内側から理解するでしょう。本当のマインドフルネスは何かということを知るためには、実際に心の筋肉を鍛えなければなりません。つまるところ、ここでは智慧について話をしています。自己の性質に関する深い認識についての話です。これが心理学の分野で、核となるものです。思考よりも、内側から耕すことがとても大事です。

Q.マインドフルネスベースのケアとはどういうものでしょうか。どの程度、行動的で、どの程度文化的ですか。

A.ご質問の意味を正確に理解しているかわかりませんが、お答えしてみたいと思います。気づきの素晴らしいところは、普遍的なことです。厳密な言い方ではありませんが、文化に制約を受けません。自分の行動を変えるという観点から言うと、心理学の分野に、行動志向(behavioural orientation)、認知行動心理学などがあります。しかし、いまやマインドフルネスという分野が出てきました。これは心理学についての理解を大きく変え、人間の存在の普遍的性質、つまり自我、についての理解を深める手がかりを与える可能性があります。このことは、文化の独自性が無いとか、心理学にその影響がないという意味ではありません。すべての言語が、それぞれの巧妙さや文化的な独自性をもちます。マインドフルネスが異なる文化に持ち込まれるときも同じことです。すべての文化において、マインドフルネスをより有効に活用するような調整がなされます。このことは、詩に例えることができるかもしれません。イラン語の詩は英語の詩とは大きく違うでしょうが、そのどちらも、ある意味、人間であるということがどういうことであるかということについて、認知的、知性的な理解をこえて意味を持ちます。ですから、マインドフルネスが世界的な現象となっていくのがとても興味深く感じられます。しかし、それぞれの文化が、その素晴らしさを増幅するような方法でマインドフルネスとつながります。もっと言うと、マインドフルネスはまさに恋愛です。健全であるばかりでなく、内外の世界とつながる愛の行為です。

Q.なぜ、マインドフルネスとハートフルネスという言葉を度々を一緒に用いるのですか?

A.英語にはハートフルネスという言葉はありません。これは東アジアの言語を元につくりました。マインドとハートは同じ言葉です。私がマインドフルネスを教える時、マインドフルネスと言う言葉を聞いて、心の内側でハートフルネスと言う言葉がそれに伴ってこなければ、マインドフルネスを本当に理解したことにはならないと考えています。そうでなければ、本来ハートフルなプロセスであるべきものが、血の通わない医学的なコンセプトにもとづくプロセスになってしまいます。

Q.画面奥の壁にかかっている文字はどのような意味ですか。

A.日本人の友人の書家から何枚か書をいただきました。いまお話しにあった文字は、曲がるという意味の言葉の漢字なのですが、読む人によっては、ブレークスルー(突発する)という意味になります。マインドフルネスを、ある意味で、自分が考えている自分というものを打ち破って自由になり、より大きな本当の自分になる手助けをしてくれるものだと考えたいと思います。

Q.皆さん、8週間のプログラムを終えたらどうなるんだろうか、と思うようです。そのようなとき、自分の本当の姿に触れることができるようになると思いますよ、と伝えています。気分の落ち込み、不安、痛みはまだあるかもしれませんが、(語尾不明瞭)。

A.不安、気分の落ち込み、怒り、こういったものは全て心の天気のパターンであるとみなすことができるようになってきます。気象上の乱れのようなものです。私たちは、そのような感情を後から悔んだり、永遠にそのような気分が続くのではないかと感じたりすることが度々あります。マインドフルネスによって、心の中の嵐に巻き込まれないようにするにはどうしたらいいでしょうか。心の中の嵐に捕まっていると気づくことが、少し早くそこから自由になる助けになります。

Q.マインドフルネスの実践にコミットし続けるためにはどうしたらよいでしょうか?

A.とても素晴らしい質問です。覚えておいていただきたいのは、誰にとってもマインドフルネスの実践を続けることは簡単ではないということです。参考になるかもしれないことを言うと、一つは、先ほども言ったように、マインドフルネスを恋愛のようなものだと思うことです。人生との恋愛関係です。目覚めることの重要性は小さくありません。まずやってみるのです。頭で考えると、もうやっているとか明日からでもできるというようなことを考えるので、考えずにやってみるのです。好きであろうと無かろうと、やると決めなければなりません。ですから、人によっては恋愛であり、人によってはただの規律です。気づきがなければ、人生の大部分を夢遊病のように過ごしているのと同じことです。そうなると、家族のことだったり仕事のことだったり、自分を見失うことだったり、世界の素晴らしさを見落とすことだったり、といったように、大きな影響が生じます。ですから、まずはやってみるというのが規律正しい取り組みへのコミットメントを生みます。
もう一つは、マインドフルネスの練習を理想化して素晴らしい体験をしようと考えると、練習のたびに大きな障害を抱えることになるでしょう。とても練習が退屈で、良いものとは到底思えず、素晴らしい体験をできていないというように感じるでしょう。
逆に、練習を理想化せず、気づきの中に安らぎ、退屈、深い、慢性的な痛み、そのほか起こるものは何であれそのままに知覚するとどうでしょうか。そうすると、あなたの気づきはそれらすべてを、それらにまったく毒されることなくそのままに受け止めることになり、そうすることであなたはすでに自由な状態にあります。

Q.今この瞬間にあるとすると、どのようにして将来を(末尾不明瞭)。

A.計画を立てる必要があるときは、あなたは今この瞬間に計画を立てているのです。この瞬間に計画を立てるということは全く問題ありません。問題があるとすると、いつも計画ばかりを立てて、今の瞬間にあることすら知らない時です。ですから、計画を立てるということも、マインドフルネスの練習に組み込むことができます。しかし、私たちにとって将来を予測することは難しいことです。ですから、計画があっても、様々な不確定要素を考慮に入れるのは難しいので、思ったように実行できるほどちゃんとした計画にならず、いくらか時間の無駄になることもあります。一方で、今の瞬間に信頼を置き、そこに存在することを学ぶ場合、親密さや知恵を高めることによって次の瞬間に大きな影響を与え、実際に未来を素晴らしい方向に変えることができます。

最後に、静かさのなかで、一緒に気づきの時間を持ちましょう。目を閉じる必要はありませんが、ここに座っている体に気づきを向けてください。この瞬間に何を感じているかに気づいてください。空気が体に入ってくることを感じることができますか?そして考えが心の中に入ってくるのが聞こえますか。気づきそのものになることができますか。感覚や考えなどにとらわれることが無く、ただ気づいている状態です。他に行くところが無いようなありかたで今ここに存在することができますか?いまあなたが体験していること、一つ一つが、本当に特別なものであることを味わうこと、それ以外には何もすることはありません。気づきそれ自体が信じられないほど特別なものです。見る、聴く、嗅ぐ、味わう、触れる、これらは奇跡です。もちろん、呼吸も信じられないほど特別なものです。私たちは、多くのものを当たり前と思っており、それらがどんなに特別なものか気づいていないのです。「私は呼吸している」と言いますが、実際には、もしそうなら、気が散ったり、怒ったり動揺したりして、呼吸をするのを忘れてしまうことになり、あなたはずっと昔に死んでしまっているでしょう。
自分でどう思うが、あなたは呼吸を司る体の仕組みに近づくことはできません。誰しも、自分が呼吸しているというよりは、呼吸状態にあるというほうが正しいかもしれません。

そして、私たちは何者かということについて。それは、自分が何者であるかという自分自身の認識よりもっと大きなものであり、見誤りがちなものです。普段からマインドフルネスへの取り組みを高めることが、人生全体の全体性を取り戻すことにつながります。これは、大きな冒険です。何が起きても、それは冒険の一行程にすぎません。そして、本当に難しいことは、その出来事との賢い関係性の持ち方であり、これが人生をかけて取り組むことです。先ほど提示したように、40年にわたる科学的な研究により、マインドフルネスは健康や幸福、日々必要とされる様々な知性に影響を与えることがわかっています。ですから、マインドフルネスを生活に取り入れることは非常に好ましいことです。私たちは目覚めなければなりません。朝起きたときだけでなく、瞬間瞬間に目覚めることで、自動操縦状態に陥ることを避けることができます。自動操縦状態に陥ると、自分の本当の人生を生きることができないからです。

最後に、Amirやこの病院でMBSRに携わっておられる皆さん、この連続インタビューに関わっている方々にお礼を申し上げたいと思います。


Amir氏による現在受付中のプログラム

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講師:Amir Imani氏
日時:2020年5月17日(日)13:00~15:00 日本語通訳付き/参加無料
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